日本において、ITはどのように普及していくのか、と考えてみます。
今はITの進化がとても速い時代ではありますが、それがどのように社会に浸透していくのかを考えてみると、そこまで単純なものではないのではないかと考えられます。
個人と法人との違い
まず、個人と法人の、それぞれの普及の様子についてみてみます。
個人向けの商品でいえば、スマートフォンが広く普及していますが、ほかにもAIスピーカーや、ウェアラブル端末が思い浮かびます。
また、家電の進化が目覚ましく、IoTを搭載した家電がこれから普及するのではないかといわれています。
商品の中身を通知してくれる冷蔵庫だとか、健康状態を自動で調べてくれる洗面台などが、これから登場してくるといわれています。
未来の家のイメージとして、このようなハイテクな家電に囲まれて生活しているイメージがありますが、よく考えてみれば、すぐにすべての家がこのような家になるわけではありません。
IT機器を購入するかどうかは人それぞれで、積極的に取り入れたい人もいれば、取り入れたいとは思わない人もいます。
向こう何十年の長いスパンのなかで、そのような機器が主流となるなどして、だんだんとこのような機器が導入されていくことによって、今イメージされているような未来の家の姿になっていくのではないかと考えられます。
次に、法人においてITがどのように普及していくのかについて考えてみます。
会社などの法人においては、少子高齢化などの環境の変化によって、業務効率化が要求されています。
その要求とも相まって、多くの企業がビジネスチャンスとみて最新のITを導入しようとしています。
実際、5Gによって実現されることの例として、離れた場所にある機械の遠隔操作(手術、工事現場の機械など)であったりとか、IoTを利用した設備の使用状況の把握(インフラやタイヤとの通信)などといったように、法人向けの施策が多く挙げられています。
このように、個人と法人におけるITの普及のスピードというものには開きがあるということがわかります。
個人にITが普及していく別の回路
個人にITが普及するのには時間がかかると先ほど言及しましたが、個人にIT機器が普及していく回路として、法人の製造したIT機器を直接個人が購入する、というもの以外にも別のものも考えられます。
例えば、法人が一般市民にサービスを提供する場合に、業務効率化の観点でITを導入する事例です。
スーパーやコンビニのレジや施設の窓口の対応を自動化したり、タブレット端末を使って必要事項の記入を求めたり、といったものです。
また、会社が用意したIT機器を個人が利用する、という事例も考えられます。
会社が健康管理のためにウェアラブル端末を貸与したり、最新の家電が備えられたアパートを会社がつくって、個人がそれを借りたり(社宅か社宅でないかは問わない)、といったものです。
おわりに
ITが進化している時代とはいっても、社会全体に普及していくわけではありません。
どれほどITが進化しても、個人への普及度合にムラがある限り、社会全体で最新のITが享受されている、という状態には至らないと考えられます。
個人に、ITの機器の購買を強制することはできません。
法人において最新のITの知見が導入され、法人の側からITが浸透していく。
個人は、法人が提供するサービスなどを通じてその恩恵を享受する一方で、家庭においてITの機器が少しずつ浸透していく。
そのようにして、社会においてITが普及していくのではないでしょうか。
最後までお読みいただいてありがとうございました。