考えるカメの考察日記

自分の考えたことを、気の向くままに書いていきます。

おかえりモネ 感想

この半年間、朝ドラの「おかえりモネ」を見ていました。
 
今まで、朝ドラを通しで見たことはなく、全編見たのはこれが初めてでした。
実際のところ、なんとなくで見始めたのですが、震災を題材にしているという点で、何かひかれるものがありました。深いお話になるのではないか、という期待があったということです。
見終わった今、本当に見てよかったな、と思いますし、今の社会について考えるうえで、すごく学びを得られることが多かったように思います。
以下、自分が感じたことについて、書き残しておこうと思います。
 
 
<今の時代に必要なのは、人に寄り添ってあげること>
この作品は、東日本大震災で被災した人々が、精神的にどのように立ち直って、前に進んでいくのか、というとても難しいテーマに正面から向き合ったものでした。
 
そこには正解などはなく、大変厳しい道のりではあるだろうと思うのですが、この作品において少しずつ前に進む様子を見ていて、勇気と希望が感じられました。
 
私は「前例のないような困難に直面した場合に、人々はどうすればよいのか」という観点において、学べる点があったように思えます。
 
少し視野を広げて考えてみます。
今は、時代の変わり目にあると、私は考えています。
近年は、気象が変化しており、毎年のように災害が発生しています。
そうしたなかで、突然家を失ったり、大切な人を亡くしたり、つらい思いをする人もきっといらっしゃると思います。
 
また、急激な時代の流れの変容により、かつての成功法則が通用しなくなり、どのように生きたらよいのかと、思い悩む人も多くなっていると考えられます。
 
そういったなかで必要とされるのは、頭ごなしに頑張れとか元気出していこう、などと言うよりも先に、それぞれの人が抱えている心の傷のようなもの、前に進めなくなっている原因のようなものに寄り添ってあげるという姿勢ではないでしょうか。
 
一言でいえば、「癒し(ヒーリング)」です。
この作品で出てきた、「手当て」もこれに該当します。
 
「あなたの痛みは僕にはわかりません。でも、わかりたいと思っています。」
第16週で、菅波先生がモネに対して言った言葉です。
 
過酷な体験をしてしまった人を、体験していない人が救ってあげることは難しく、そのような体験をしていなければ、完全に理解はしてあげられないかもしれません。
ですが、傷ついた人のそばにいてあげることはできるはずです。
他者の立場に立って、思いを致す。
今の世の中において、そのような意識が必要とされているのではないでしょうか。
 
 
また、つらい思いをした人を励ましてくれる言葉がありました。
「何もできなかったと思う人は、次はきっと、何かできるようになりたいと強く思うでしょう。」(第7週)
朝岡さんが、モネに対してかけた言葉です。
 
失敗を、やさしく許容してくれるような、言葉です。
あのとき何もできなかったと思うなら、次に何かできるようになればいい。
そんな温かい励ましを感じました。
 
 
<地方に住む人と、よそから来た人の関係性>
第14週で取り上げられていましたが、災害が相次ぐのなら、土地を離れればいいのではないか、という朝岡さんの仮説に対して、モネのお父さんは、離れようと思っても離れられない…何百年その土地に住み続けてきた、人の想いのようなものがあるからかな?といった趣旨の言葉を返していました。
 
このシーンを見て、地方で被災をされた方もそう思っていらっしゃるのかな…と考えさせられました。
 
被災地である前に、何百年も人が住み続けてきた地方である、という前提を置く必要があると思いました。
 
震災の復興について考えるうえで、地方で暮らしている人の思いを知ることが必要だということも、メッセージの一つであると感じます。
 
その土地に住んでいる人の想いを大切にしなければならない一方で、よそから来たからこそできることもある、ということも何度か触れられていました。
 
地方と、よその地域との関係性というのは、興味深いテーマであると思っています。
 
 
<仕事に向き合う姿勢について>
「あなたのおかげで助かりました、は麻薬です。」(第12週)
「人の役に立ちたいとか、結局自分のためなのでは?」(第12週)
この作品では、仕事に向き合う姿勢についても、考えさせられる言葉がありました。
 
「自分のため、という利己的な部分」と、「誰かのためになる」、という自分と他者の間のバランスを考える必要があるのかな、と感じました。
 
 
<自然の循環、普遍的な大きな存在>
SNSのコメントでも一部見受けられましたが、輪廻転生もテーマの一つかもしれません。
おばあちゃんは、牡蠣に転生して、さらにブナの木に転生していった、とされています。
 
こういった循環というのは、自然にも通じるところがあります。
水を通じて、すべてがつながっている、という点が繰り返し触れられていました。
林業と、漁業と、気象のつながりというのは、あまり意識したことがない点であり、目から鱗でした。
こういった自然の営みというのは、普遍的なものであって、この物語の背後に大きな支柱となって存在していたように感じます。
気候変動の問題に関心が高まっている昨今、私たちが自然のなかで生かされているという事実に改めて気づかせてくれたような気がします。
 
 
<その他>
最終週で、モネの妹の未知がずっと心に抱えていた思いが明らかになりました。
震災のとき、おばあちゃんを置いて津波から避難したということを、ずっと後悔していた、ということでした。
未知さんは、このドラマのなかでは少し子どもっぽいというか、大人になりきれていないように見受けられることも多かったと思うのですが、そうしたふるまいの根底にあるものが明らかになったと感じました。
表面的には動機がよくわからなくても、その背景には震災のときの経験があったということであり、やはり、このドラマの中心にあって大きな影響力をもっているのは震災であると、改めて感じさせられました。
 
最終週では、モネがサヤカさんから送り出してもらう立場から、様々な経験をして成長したことで、未知さんを送り出す側に回る、という部分が印象的でした。
 
ここにも、人が役割を受け継いで、また次につなげていくといったような、「循環」が垣間見えますね。
 
だいたい、以上のようなことが思い浮かびました。
とにかく、いいお話でした。
まとまらないですが、ここで筆を置きます。
読んでいただいて、ありがとうございました。